【書評】ラッキーマン

書評

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読書

分かち合えない幸福は、本当の幸福ではない


私と同世代の人間であれば知らぬ者が居ない名優、マイケル・J・フォックスが銀幕から姿を消して以来、どれほどの月日が流れただろうか。
人生の「頂点」と「どん底」の両方を経験したスターの壮絶な半生を、私達、一般の人間が言葉で評する事は、正直難しい。

世の多くの芸能人がしばしばそうであるように、著者自身も「売れ続けなければならない」という重圧を笑い飛ばすかのようにアルコールに溺れていく様子は、むしろ「定番の演出としてゴーストライターが書いたのでは?」と疑ってしまった程である。

しかし、本書が他の「有名人の半生本」と一線を画する部分は、何といっても圧倒的なまでに「他者との関わり合い」を強調している部分であろう。

自身のマネージャーや芸能界の友人、映画、テレビ関連のスタッフ、そして家族はもちろんの事、警備会社、脳外科医、療法士、ウェプ上の禁酒コミュニティ、パーキンソン病のコミュニティに至るまで、ありとあらゆる立場の人達との関係を、綿密に回想している。

果たして著者自身が言うように、彼が本当に「ラッキーマン」であるのかどうか、芸能人でもなくアルコール依存経験も無く、かつパーキンソン病でもない私には、正直、判らない。

しかし、本書を読んで一つだけハッキリ理解できる事は、「他者と分かち合えない幸福は、本当の幸福ではない」という事である。

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